2021/12/01 12:24
おかげさまで20周年!!
東京キララ社は2021年12月19日に創業20周年を迎えます。これまで弊社は「マーケティングなんかクソ食らえ!」をスローガンに、一貫して他社では決して実現しないディープな書籍を現場の最前線からお届けしてきました。この機会にそもそもなぜ僕が会社を立ち上げたのかを書かせていただこうと思います。
僕は1998年の年末頃、労使紛争真っ只中の三一書房に、編集担当の役員のボディーガードとして入社しました。僕を三一書房に誘ったのは、昭和42年に単独で三菱銀行に立て籠り事件を起こし、事件屋、乗っ取り屋として暗躍する極左の活動家・下野順一郎でした。下野は1980年代の半ばから僕の神保町の実家を食い物にしていましたし、これから三一書房を食い物にしようというタイミングでした。その薄汚い魂胆と、醜い金銭欲、支配欲に忠実な行動はwebで連載している「神保町バブル戦争」に今後も詳しく書いていくので、そちらをぜひお読みください。
労使紛争が少し落ち着いた頃、三一書房はそれまで休止していた出版業務を再開。そして僕はボディーガードから編集部に配属となり、三一書房の新刊を数冊、担当させてもらいました。同時に自費出版にも力を入れ始め、「公募ガイド」で原稿を募集すると多くの作品が寄せられました。自費出版ながらもそれなりに話題となり、3刷までいったジャズ関係の書籍がありました。そこで僕はその続編として、ブルーノート完全コレクターとして知られる小川隆夫さんを紹介してもらい『ニューヨークJAZZ』という企画を会社に提出しました。ところがこの企画が通らなかったのです。
バブル崩壊後、日本経済は右肩下がり。それは出版業界も同じでした。それまでの出版社では、企画の決定権は当然、編集にありました。ところが、その頃は営業が企画を主導するようになっていました。いわゆるマーケティングです。本の内容や出版意義などは軽視され、「売れるか売れないか」「儲かるか儲からないか」だけで企画が判断されることに強い怒りを覚えました。「偉そうに『出版は文化だ』とか言ってんじゃねぇ」。神田神保町で製本屋と出版社を営む実家の長男として生を受けた僕は強くそう思いました。
自費出版で味をしめた三一書房は小川隆夫さんの企画にも「本を500冊ぐらい買い取ってもらえ」という条件を出してきたことで、僕は完全に愛想が尽きました。ジャズ関係の著書を多数出している小川隆夫さんを知りもしない人間が偉そうに言ったセリフが気に入らず、僕はどんなことをしてでもこの企画を通そうと思い自分で会社を立ち上げることにしたのです。事務所は三一書房の間借りで、流通も三一書房の取次口座を使わせてもらうことになりました。「作りたい本しか作らない」「マーケティングなんかクソ食らえ!」というスタンスが東京キララ社創業時から一貫しているのには、こういった理由があったのです。
そもそも、著者というのはそれぞれその道の専門家です。その道のトップである人が、なぜ主婦やそこらの会社員などズブの素人の意見を自分の著作物に取り入れないといけないのか。それがまったく理解ができませんでした。「出版は文化である」がゆえに再販制度で定価が守られています。文化ではなく商売がしたいなら他の仕事をすればいい。タレント本や自己啓発本、付録目当ての雑誌などを出版して「文化」を語ってもらったら困ります。神田神保町で代々、本に携わってきた家に生を受けたからには、僕は一人でも「出版文化を守る」覚悟で東京キララ社を立ち上げ、その気持ちは今も変わっていません。
地上げ屋やヤクザ、右翼に極左の活動家、しまいには乗っ取り屋に魂を売った実の母などから、家庭も人生も蹂躙されてきた僕を癒してくれたのは、音楽や本、映画などの創作物でした。長らく溜まり場になっていた僕と弟の部屋には様々な本が持ち込まれ、アンダーグラウンドなカルチャーが充満していて、それらを楽しむ時間だけ生きている実感がありました。ディープでニッチな内容にこそ、知的好奇心が湧いたのです。だからこそ、僕は自分と同じように生き辛い人生を送る人に、本に綴られたたった1行からでもいいから、人生を楽しめるヒントを見出してほしいと思っています。みんなと同じ方向を向く必要はないのです。「売れているもの、有名なものが好き」な人からは弊社の刊行物は目に見えません。弊社の刊行物に目が止まった方は、長いものに巻かれず独自の視点で人生を歩む人だと思っています。そんな正しくも生き辛い人生を送る人たちを応援したい。
東京キララ社がこれまで刊行してきた101冊の書籍は、孤高のアーティストやアウトローなど、社会の枠にはまらずに自らの人生を独自の哲学で生き抜く人たちから学ぶ「人生の教科書」だと思っています。ただし向き合い方によっては毒にも薬にもなるのでご注意ください。東京キララ社の書籍の効果を説明するのであれば、一般大衆向けのいわゆる万能薬ではなく、あくまでも特定の方に効果のある特効薬なのです。あなたの人生のバイブルとなる書籍に巡り合っていただければ幸いです。これからもこのスタンスを変えずに独自の路線を突き進んでいこうと思っています。
東京キララ社代表 中村保夫
【東京キララ社20周年祭@神保町RRR】※こちらのイベントは終了いたしました。ご来場いただいた皆様ありがとうございました。
●2021年12月18日(土)
12:00〜 東京キララ社20周年フェア(入場無料)
東京キララ社の在庫僅少本、絶版本、サイン本、おまけ付き書籍などのフェアを開催!!
18:00〜 DJイベント「復活!DISCO PARADISE」を開催!!
入場:1,500円
DJ:中村保夫/秘密博士/珍盤亭達磨/MOCHO/べき
●2021年12月19日(日)
15:00〜 トークイベント「ドントパスミーバイを振り返る」
入場:1,500円
出演:湯浅学/根本敬/中村保夫
18:00〜 アフターパーティー
DJ:湯浅学/根本敬/中村保夫/UMEZOほか
○神保町RRR
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-7 芳賀書店ビル5階(神保町駅A1出口徒歩0分)
tel 03-3233-2228
【東京キララ社20周年フェア @ 東京堂書店】
12月10日より、2階特設コーナーにて「東京キララ社20周年特設フェア」を展開中です!お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください!
○東京堂書店神田神保町店
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1丁目17
tel 03-3291-5181
【東京キララ社20周年フェア @ タコシェ】※こちらのフェアは終了いたしました。ご来場いただいた皆様ありがとうございました。
●12/6(月)〜 12/19(日) 店頭にて「東京キララ社20周年フェア」を展開中! 希少本や限定商品もご用意し、皆様のご来店をお待ちしております!
●12/12日(日)13時〜17時 「中村保夫による〝東京キララ社ソムリエ〟」イベントを開催!
東京キララ社は一貫して他社では決して実現しないディープな書籍を現場の最前線からお届けしてきました。
それらの書籍はいずれも個性的で、なかなか一言ではその魅力を語り尽くせないものばかりです。
そこで今回、代表・中村保夫が〝東京キララ社ソムリエ〟として滞在し、お客様一人ひとりに本のご紹介をさせていただく「半日ソムリエイベント」を開催いたします!
本に関するご質問はもちろん、中村のMIXのあの曲が知りたい等々、何か聞きたい事がある方はぜひこの機会にご来店ください!
○タコシェ
〒164-0001 東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ3F
tel 03-5343-3010